イメージ(写真提供:Photo AC)
身近な人に看護・介護が必要になったとき、みなさんはどこに相談しますか?
総合的な相談先として、主治医の所属機関を問わず、活用できるのが「訪問看護ステーション」です。
その地域に開かれた独立した事業所である「訪問看護ステーション」に、黎明期から関わり、自ら起ち上げた「桂乃貴メンタルヘルスケア・ハートフル訪問看護ステーション中目黒」で、自分自身も看護に当たるのが渡部貴子さん。
自らの経験を元に、介護や看護で困っている方への質問・疑問に答えてもらうのがこの連載です。第22回目は、「『眠れない夜』から卒業〜夏の疲れを引きずらない心の整え方〜」についてです。
(構成:野辺五月)

前回「「あの人と比べては落ち込む私」から卒業するには。膨大な情報に晒されると自分の「輪郭」がぼやけてしまう。自信を取り戻すために5つの方法」はこちら

眠れない夜は「あきらめる」ことから

Q:最近、なかなか寝付けず、眠れても夜中に何度も目が覚めてしまいます。寝苦しさからくるのか、それとも別の原因があるのか、疲れているはずなのに頭の中はぐるぐる考え事ばかり。朝起きても疲れが取れず、日中も眠気に襲われ、このままだと体も心ももたないのではないかと不安です。どうすれば、ぐっすりと眠ることができるのでしょうか?

A:寝たいのに眠れない夜が続くと、心身ともに消耗してしまいますよね。焦りがさらに眠りを遠ざけ、悪循環に陥ってしまうつらさ、本当によく分かります。睡眠は、心と体を回復させるための最も重要な時間です。今回は、看護師の視点から、夏の疲れを引きずらないための、質の良い眠りを手に入れるヒントを3つのポイントに分けてお伝えします。

秋分の日も過ぎ10月となりましたが、夜は涼しくなったと感じる日もあれば、蒸し暑さでけだるさが残る日もあります。季節の変わり目は、気温の急激な変化に体が追いつかず、睡眠の質が不安定になりがちです。

そんな時、「眠らなきゃ」と焦る気持ちは、かえって心拍数を上げ、交感神経を優位にさせ、眠りを遠ざけてしまいます。眠れないままベッドでじっと横になっていると、「今日もダメだった」という強迫観念に繋がることも。もし、どうしても眠れないと感じたら、一度ベッドから出てしまいましょう。

お茶を淹れたり、好きな本を読んだり、気になっていた映画を観たり……。大切なのは、無理に眠ろうとせず、「切り替え」のスイッチを入れること。焦りを手放し、気持ちを切り替えることで、自然と眠気が訪れることもあります。よく「羊を数える」という方法を聞きますが、焦っている時に数を数えることは、むしろ逆効果になることもあります。