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加齢や出産、姿勢のクセなど様々な要因で、特に4,50代以降の女性に多く見られる股関節の痛み。北里大学の高平尚伸先生は、その原因と対策について「放っておかず、早めにケアすることが美と健康を守る第一歩」と語ります。「股関節」研究の第一人者である高平教授に、健康プログラム開発者・平井孝幸さんが、女性の体に寄り添う“痛み予防の新常識”を伺います。

股関節のトラブルは「年齢のせい」だから仕方ない?

平井:50代を過ぎた女性から『歩くと股関節が痛い』『靴下をはくときに股関節が突っ張る』といった声をよく聞きます。多くの方が“年齢のせいだから仕方ない”と諦めてしまっているようですが…本当にそうなのでしょうか?

高平:もちろん、単純に「年齢」が原因とは言えません。

そもそも股関節の痛みの背景には、関節の変形や軟骨のすり減りだけでなく、筋肉の硬さや衰え、骨盤や腰の歪みなどが複合的に関わっています。ですので、加齢に加えて生活習慣や運動不足が強く影響している、と言った方が適切でしょう。

さらに言うと股関節は、特に50代以降の女性がトラブルを抱えがちです。

その理由の一つとして、更年期に伴う女性ホルモンの減少が考えられます。女性ホルモンが減少すれば、骨密度や軟骨の質が低下しやすくなってしまうのです。

もう一つの理由として、筋肉の衰えが考えられるでしょう。お尻や太ももの筋肉が衰えることで股関節への負担が増し、痛みを引き起こしやすくなるのです。

平井:つまり女性の股関節の痛みは“体の老化”だけが原因ではなく、“ケア不足の積み重ね”が影響している…と考えたほうがよさそうですね。