もう無理かもしれない
そんな関係を数年間続けたが、もう無理かもしれないと感じたのは、A子が被害妄想のようなことを言い出した時だった。「夫の職場の同僚夫婦が隣に引っ越してきた。私を監視するためだと思う」と言う。
なんでも同僚夫婦とは子どもが同い年で、A子曰く、ライバル意識が強くてマウントをとってくるそうだ。だが、さすがに監視のために引っ越すなんて考えられない。私は怖くなり、時々居留守を使うようになった。
夫の海外赴任にA子がついて行くと決まったのはそんな時だ。これでもう連絡はなくなるだろうと安心したのも束の間、なんと赴任先のアメリカから電話がかかってきた。
時差もおかまいなしで、早朝から呼び出し音が鳴り響き、私は夫から不審な眼差しを向けられるように。