本が本を呼び世界を広げる
重松 愛菜さんは、年間100冊以上も本を読んでいるとか。
芦田 私にとって本を読むのは、お風呂に入るとか歯を磨くのと同じ、生活の一部になっています。
重松 ご著書『まなの本棚』には、日本の現代作家の小説はもちろん、平安時代や江戸時代のもの、外国文学も紹介されています。読むジャンルはさまざまですね。
芦田 海外ミステリーにハマっているときもあるし、古典や明治の文豪の作品を読みたいなと思うときもあります。とにかく、いろいろな本を読んでみたいんです。
重松 本と出会ったきっかけは?
芦田 小さいときから、父も母も絵本の読み聞かせをしてくれましたし、私のために図書館で本を借りてきたり、常に身のまわりに本がある環境をつくってくれていました。子どもの私にとって本はワクワクさせてくれるもので、「何かほしいものは?」と聞かれると、いつも「本がほしい!」と。
重松 今の時代、マンションのモデルルームにも、本棚のない部屋は多いんですよ。
伊藤 学生も、ますます本を読まなくなっていますね。私が学生の頃はまだ、読んでいないことに対する羞恥心がありましたが。
重松 そうそう。友だち同士、ある本の話をしているときに自分が入っていけないとつらくて、うちに帰ってあわてて読むという。僕と伊藤さんは50代ですが、昭和の小学生って、身近なところに本がたくさんありましたね。親の本棚からこっそり本を抜き取って読んだり。背伸びしてね。
伊藤 私も、読書に目覚めたのは親の本棚にあった本からでした。小学生のときに北杜夫の「どくとるマンボウ」シリーズにハマり、そこに出てきた中学校に憧れて、その中学を受験したほどです。
重松 愛菜さんは、お父さんやお母さんの本棚から本を抜き取って読んだ経験は?
芦田 それはないです(笑)。でも『国盗り物語』は、時代小説の好きな父から借りて読みました。小学6年生か中学1年生の頃かな。
重松 その年齢で司馬遼太郎ですか。すごいなあ。
芦田 ちょうど当時の歴史を学校で習っていて、それで興味があったのだと思います。