カードに描かれた人形の絵(白神さん提供)

そんなある日、私の知人が働く終身型介護施設に、全入所者へ封筒が届いた。差出人は近所の子ども。封を開けてみると内容はこうだった。

「こんにちは。私は近所に住む7歳の女の子です。あなたは私のことをしりませんね。私もあなたのことを知りません。このカードをみんなが喜んでくれるといいな。今、どこにも行けない状況で孤独を感じているかもしれません。でも、わたしはあなたたちのことを考えています。愛をこめて」

カード1枚1枚にかわいいお人形の絵が描かかれていた。女の子が描いたのだろう。施設内には温かな空気が流れたという。

 

窓辺にクマのぬいぐるみが飾られる理由

コロナ禍で、在宅を余儀なくされているのは、大人ばかりではない。学校が休校となり行動範囲が狭くなった子どもたちも同じである。全ての年齢の子どもたちが、室内でおとなしくできるわけではない。特に幼い子を持つ親は大変だ。

家々の窓に飾られたクマのぬいぐるみ(白神さん提供)

今のところ、子どもたちには外出禁止は出ていない。しかも3人までなら一緒に遊べる。そこで、新たな企画が持ち上がった。その名も「クマを探そう!」。各家庭の窓にクマのぬいぐるみを飾ってもらい、それを子どもたちが探して回るというゲームだ。参加者は、クマの絵が20~30個ぐらい描いてある紙と鉛筆を持ち、1つ見つけるごとに印をつける。

勝敗もなく平和で、屋外で運動もできる。SNSを通じてたちまちオランダ中に広まった。2、3人の仲良しグループで楽しんだり、親子で繰り出したり。今、オランダの住宅地を歩くと、大小さまざまなクマのぬいぐるみに出会うことができて楽しい。