窓を開けた国民がいっせいに拍手を始め…
そんな外出自粛中のオランダ。鬱々とした空気を吹き飛ばすような心和むニュースもある。
コロナウィルス感染者の治療にあたる医療チームは、昼夜なく働いている。彼ら彼女らを高く評価すべきだとの声が次第に大きくなり、3月15日頃「17日20時に、彼らを称えるためにみんなで拍手を送ろう!」との企画が立ち上がった。その情報はSNSを通じて瞬く間にオランダ中に拡散。
当日の20時、窓を開けた市民がいっせいに拍手を始め、国中が拍手喝采の渦に。
この様子はもちろん、ニュースでも報道された。窓を開けて拍手する国民と、病院でその拍手を聴く医療チームが画面に映し出される。誇らしげな医療チームの人たちの顔が印象的だった。
なんとこの企画には、国王一家も参加。宮殿のバルコニーで、国王夫妻と3人のプリンセスたちが揃って、医療チームにエールを送ったのだ。
終身型介護施設に届いた封筒は
時を同じくして、休校になった大学生たちが始めたボランティアがある。外出が禁止されている高リスクグループに属する人たちの「買い物代行」だ。申し込めば近所に住む大学生が買い物を無料で代行してくれる。
オランダは核家族が多く、気軽に買い物を頼める親族や知人が近くにいない場合も多い。もちろんネット注文もできるが、ネットに慣れていない高齢者にはハードルが高かった。
学生は買い物が終わると、玄関前で依頼主に電話をして品物を引き渡す。もちろん、1.5メートルの距離を忘れない。そこで交わされる少しのお喋りも、高齢者の心を和ませているようだ。学生も「授業がなくなり、空いた時間で少しでも人の役に立てるのなら」と話す。外に出られず、孤独に日々を過ごす一人暮らしの高齢者には有難いサービスである。