先のことが予測できない時代になってきている今、スポーツやビジネス、教育などにおいて求められる「リーダー像」も変化しつつあります。そこで今回は、元サッカー日本代表監督で、現在は愛媛県今治市の高校「FC今治高等学校里山校」(通称FCI)の学園長を務めている岡田武史さんと、岡田さんと共に教育現場の最前線でリーダー教育に努める教育者・工藤勇一さんによる共著『THE CAPTAINSHIP(ザ・キャプテンシップ):絶望を希望に変えるシン・リーダー論』から、お二人の対談を一部抜粋してお届けします。
日本の学校教育は社会の変化に追いついていない
工藤 岡田さんのように、外部から教育業界に参入する動きが進んでいることは、現場の教員から見ても本当にいいことです。日本の学校教育は社会の変化に追いついていません。極端に言えば、日本の教育は明治維新から変わっていない。
それどころか、学校教育がみんなの関心事になって、ますます「サービス産業化」してしまっている。先日も「PISA(Programme for International Student Assessment:OECD(経済協力開発機構)が3年ごとに実施する世界的な学力調査)の結果が世界トップクラス」と報道されましたが、こんなことを意識している国なんて、日本だけかもしれません。
問題なのは、親も先生も子どもに手をかけすぎるようになったことです。この30年間、少子化や核家族化が進んだことで、良くも悪くも子どもの教育に目がいくようになりました。我々が子どもの頃は、暴力的な先生も今よりはるかにいましたが、そこまで気にしている親はいませんでしたし、学校で先生から殴られたからといって、いちいち親に言いつける子もいませんでした。
岡田 そうですね。そんなのを親に言うと、逆に「お前、学校で何をしたんだ」と、親からも殴られたものです。