「経済が伸びていれば、教育はそのままでいい」というカン違い

工藤 もちろん、殴っていいという話ではありません。でも、当時それが受け入れられていたのは「子どもはとりあえず学校へ行っておけばいい」時代だったからだと思うのです。

とりあえず学校に行っておけばそれなりに知識が得られて、それなりの大学に入れて、それなりの会社に就職できた。いったん会社に入れば、会社は基本的に潰れない。高度経済成長期のモデルが昭和、平成、令和と続いてきてしまったわけです。

『THE CAPTAINSHIP(ザ・キャプテンシップ):絶望を希望に変えるシン・リーダー論』(著:岡田武史、工藤勇一/実務教育出版)

その間、欧米ではどんどん教育が変わっていったのに、その変化に日本はまったくついていけませんでした。むしろ、ついていこうとしなかった。なぜかといえば、「日本は教育に成功した」と、カン違いし続けていたからです。

岡田 「経済が成長しているから、教育もそのままでいいんだ」と。

工藤 そうです。教育が大成功の要因だと思い込み、「日本の教育は世界に誇れるんだ」となってしまった。

岡田 今でもまだ、そのようなことを言っている人がいますね。