自分の性格に合った歩みをしていけばいい

工藤 岡田さんは二度目の代表監督の就任時や、FCIの学園長就任の時もそうですが、「推された以上は引き受ける」というポリシーですか?

岡田 学園長就任を打診された時も本当に悩みましたし、考えました。でも、相談した人たちがほぼ全員、「面白いですね。手伝います」と集まってくれた。その背景には、日本の教育はこのままではダメだ。でも、どうすればいいのか分からない。怖くて正解を探すために踏み出せない。だから、やると決めて一歩踏み出そうとしている岡田に前を行ってほしい、と。そんなふうに祭り上げられた感覚があります。

それが嫌かと言えば、そんなことはない。リーダーを求める人に苦言を呈しておいて何ですが、自分でも「俺が行くしかねぇか」と思えてしまう(笑)。やっぱり僕は、そういうファーストペンギン的な性分なんでしょうね。そこは一人ひとり、自分の性格に合った歩みをしていけばいいと思います。

 

※本稿は、『THE CAPTAINSHIP(ザ・キャプテンシップ):絶望を希望に変えるシン・リーダー論』(実務教育出版)の一部を再編集したものです。

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THE CAPTAINSHIP(ザ・キャプテンシップ):絶望を希望に変えるシン・リーダー論』(著:岡田武史、工藤勇一/実務教育出版)

「キャプテンシップ」とは、従来のトップダウン型・ボトムアップ型を超え、仲間と共に並走しながら進む新しいリーダーシップの形。

本書は、サッカー日本代表監督として数々の偉業を成し遂げ、現在愛媛・今治の地で新しい「教育×地方創生」の形に挑戦する岡田武史氏と、岡田氏と共に教育現場の最前線でリーダー教育に努める工藤勇一氏が、二人の経験と試行錯誤を通じて到達した「不確実な時代に求められるリーダー像」について語り合います。