「文化資源」と見ればいい
あなたの趣味もまた、「文化資本」というよりは「文化資源」だと見ればいいのです。趣味がないことをコンプレックスに思う必要はなくて、あなたにしかないオタクっぽい何か、ではなく、誰かの真似であったり、横流しであったりする、そんな、ありふれたもので十分なのです。他人に誇れるような特別なものでなくて、まったくかまいません。それよりも、みんなに通じる、どこでもできるもののほうが、気軽です。
もとより「文化資源」は、なかなか日本語には馴染みにくい概念です。実際、東京大学の佐藤健二をはじめとする数名の学者が中心になってつくった新しい分野です。佐藤のことばを借りれば、「『文化』と『資源』のあいだには、一方向的な規定関係ではない回路と、相互性の形態」があります。「文化資源」は、ひとつのことばのまとまりではなく、「文化」と「資源」それぞれが影響しあって決まる、というわけです。
こう考えると、あなたの趣味が明確になりませんか?
読書とか絵画鑑賞みたいに、いかにも「文化」な香りのする由緒正しいものでなくても趣味と呼べますし、何より「文化」にほかなりません。あなたにとって「資本」と呼ぶほど仰々しくなくても、「資源」にはなりえます。何より、あなたの時間を満たし、誰かとのつながりのきっかけになりえます。そんなところから、あなたの生活を考えてみればいいのです。






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