私は中学生の頃から一緒に選抜チームでプレーしてきた白井美沙紀と仲が良かったので、全国大会になると美沙紀に会えるのが楽しみでもあった。

話したいことはたくさんあるけれど、試合に来ているわけで、もちろんその場にいるのは自分たちだけでないこともわかっているから、声のボリュームを意識しながら、小さな声で美沙紀と楽しく話していたら、突然黒いカーテンが開けられ、別チームの監督に怒鳴られた。

「何をぺちゃくちゃしゃべってるんだ。今チームで話してんのがわからねーのか!」

突然の出来事に面食らって、言葉も出ない。

さらに言えば、言葉も出ないぐらいに驚いたのは、カーテンで囲っているのはそこが着替える場所でもあったからだ。

もしもあの時、勢いよく開けたカーテンの先で女子選手が着替えていたら、どんな反応をしたのだろう。社会生活をするうえで、やってはいけないことだと誰もがわかることを、監督という立場にあるだけで堂々とやっている、見本にならない大人も多くいた。

もしも威張り散らすだけの指導者や、上司に辟易している人がいるならば、私は心から言いたい。

そんな人の話、聞いても意味ないし、聞いて得することは何もないですよ。

後悔しない選択』(古賀紗理那:著/KADOKAWA)