「お前が決めなければダメだ」と追い込まれることで、潰れてしまう選手もいるはずだ。人によってとらえ方が違って、私とは違う発想で「最後はエースの責任だ」と言われることが自分を燃やす材料になって、成長する選手もいるかもしれない。
でも「私はそうなれない」と頭が混乱して、攻めることすら怖がっている選手がいたとしたら、ただ怒鳴りつけるのではなく「こういう時はこうやれば決まるよ」とヒントを与えてあげてほしい。
あくまでヒント、すべてを教える必要はない。
決まらなかったらどうしよう、ミスをしたらどうしよう、とマイナスに引っ張られるのではなく、「こうすればうまくいくかもしれない」というヒントがあるだけで、頭を使うことができる。そうなると、課題を解決する力にもつながる。
大人になってからでも人は成長できるけれど、10代の頃に教わったことを、吸収する速さは段違い。柔軟な発想ができる学生時代に、「こういう考え方をすればこの壁が突破できる」と頭にあるだけで、その後は大きく違う。
ミスを叱責するばかりでなく、なぜミスにつながったのか。
根本的な技術が足りないのか。それとも考え方が間違っていたのか。
もっとひとりひとりと向き合って、その「なぜ」を解決する指導者がひとりでも多くいてほしいと心から願っている。