謎のルールを引き継ぐ必要はない
中学から高校へ入学した時以上に大事なことは、高校卒業後にどんな進路へ進むか。その選択次第で、人生は大きく変わる。
最後の春高を3回戦敗退で終えた私は、熊本信愛女学院を卒業後、Vリーグ(現・SVリーグ)のNECレッドロケッツ(現・NECレッドロケッツ川崎)に入団した。バレーボールはプロリーグではなく、企業がチームを有する企業スポーツで、私がNECへ入った時もバレーボール選手としてではあるが、NECの社員としての採用でもあった。
学生時代は1年と3年、大学まで進んだとしても1年と4年、年齢差はある程度限られるのに対し、会社、という組織に属するチームの中では年齢も経験もさまざま。
NECに入社したばかりの頃を思い返すと、とにかくいろいろなことに戸惑った。
最初の困難は、高校時代など比にならないような暗黙のルールの数々。特に入社して2年が過ぎる頃までは、チーム内では常に新人。練習の準備や日常生活でやらなければならない役割も多く、体育館の掃除の仕方やボールの渡し方。移動時にバスへ荷物を入れる時の積み込み方。
「何で?」と尋ねても「そういう決まりだから」としか返ってこない謎のルールが多すぎて、とにかく困惑した。