人って、禁じられると余計にやりたくなるじゃないですか。そのせいか、やたらと甘いものを欲するようになっちゃって。でも主治医は「上質なものを少量にしておきましょうか」と寄り添ってくれる。

「何を考えているんですか!」などと怒られていたら、私はこの医師とは相性が合わないと感じて、病院ごと変えていたでしょう。それも患者の権利ですから。そういう性格なので、友達などの近しい人から病院や医師を紹介してもらうのはやめたほうがいいと学びました。(笑)

室井さんが持ち歩いている「糖尿病患者用IDカード」。低血糖や交通事故などの緊急時、周囲の人や医療関係者に糖尿病であると知らせることができる

ちなみに糖尿病患者が恐れるのは、地震や台風などの災害。私自身、避難生活を余儀なくされた場合、インスリンが切れたらどうなるのかと不安でした。でも日本糖尿病協会が発行している「糖尿病患者用IDカード」の存在を知ってから、常に持ち歩くようにしています。表には「わたしは糖尿病です」という文字と、緊急時の対処法が。裏には氏名、家族の連絡先、かかりつけの病院名と主治医の名前が書いてあるので安心です。

いずれにしても糖尿病とは一生向き合っていかなければなりません。これからも体調の変化に気をつけながら、といってもあまり深刻にならず、うまくつきあっていく覚悟です。

 

「後悔しても知らない」友達の言葉で病院へ

もう病気はたくさんだと思っていたのに、昨年の夏、初期の乳がんと診断されました。さすがに「嘘でしょ!」って叫びましたね。でも、考えてみれば糖尿病はがんのリスクを20パーセント高めるといわれているし、私が膵臓とともに摘出した脾臓はがんの抗体をつくる働きがあるといわれているし。

つまり私はがんを発症しやすい体質になっていたわけで、自分はどれだけ呑気だったのかと反省しきり。ただ私は悪運が強いのか(笑)、不思議な流れで早期発見することができたのです。

2019年6月、ツイッターで5年ぶりに漫画家の友達とつながり、食事をしました。そのとき、彼女のアシスタントの女性が乳がんで亡くなったことを知ってショックを受け、帰宅後も頭から離れなかったんです。とりあえずお風呂に入ろうと浴室へ行くと、操作ミスで浴槽にお湯が溜まっていなくて。

しかし、すでに真っ裸の私。お湯張りが完了するまで手持ち無沙汰になり、ふとおっぱいをモミモミして乳がんのチェックをしてみたんです。すると、あれ? 梅干しの種みたいなしこりがあるけどまさかね、と思いました。

深夜に起きていそうな友人に電話をして事情を説明したら、普段は穏やかな彼女が「絶対に病院へ行って! 後悔することになっても知らないからね」と語気を強めて言うのです。あのとき友人が強固に背中を押してくれなかったら、気のせいだと流していたかもしれません。