セーフだったと喜んでる場合じゃない

膵臓に腫瘍ができたころまで遡って思うのは、ホームドクターの大切さです。風邪でも何でも、まず訪れて気軽に相談できる医師がいなければ、病院へ行くことすら億劫で取り返しのつかないことになっていたかもしれません。

それから、乳がんかもしれないと思ったとき、糖尿病でお世話になっていた病院を選んだ自分は冴えていたなと思います。持病を抱えている場合には、専門医同士で情報を共有してもらうのがベスト。たとえば私は現在乳がんのホルモン治療を続けていますが、ならばインスリンの量を少し増やしましょうと微調整することで、2つの病気の治療におけるゴールデンバランスを保つことができているのです。

私は怖がりなので、少しでも体調が悪いと友達に相談したり、医師に訴えたり。病気に限らず、何かあると大騒ぎしてしまうのは自分の悪い癖だと思っていましたが、今は自分のカラダや体調に関しては心配性なくらいでちょうどいいと考えています。

病気はつらいけど悪いことばかりではありません。息子に「私、乳がんだって」と知らせても心配するそぶりを見せませんでしたが、私の友達の家を一人訪ねて、「あのひと、死ぬの?」と訊いていたそうです。すごく嬉しかったし、「私はまだ死ねない」と心の強さを備えることもできました。

実は乳がんで入院したのを機に、タバコをやめたんです。セーフだったと喜んでる場合じゃないと気づいて。病は人生を好転させるチャンスだったとポジティブに捉えています。