「家」を重視する血縁主義から「個」の時代に変化しつつある現代では、弔いの「正解」を教えてくれる人が身近にいないために、葬式やお墓の問題に悩まされる人も多くなってきています。そこで今回は、浄土宗僧侶・鵜飼秀徳さんと日本経済新聞記者・大久保潤さんによる共著『弔いの値段 葬式、墓、法事……いくら払うのが正解か?』から抜粋し、弔いにまつわる「聞きたくても聞けなかった実情」をご紹介します。大久保さんによると、「お布施が不透明なのには理由がある」そうで――。
お布施はなぜ不透明なのか
お布施が不透明なのには理由があります。それは、葬式や法要に関するお坊さんの行いは「サービスの対価」ではなく「宗教上の行為」とされているからです。
宗教法人による宗教行為なので収入(お布施)は非課税になります。全日本仏教会はお布施について「サービスの対価ではなく、金額は慈しみの心に基づくもの(お気持ち)」という考え方を貫いています。「わかりにくい」という利用者の不満に理解を示しながらも「サービスとすれば課税される可能性がある」として、お布施の定額表示に反対してきました。
ところが、すでに「お布施の金額の目安」を公表しているお寺が出ています。
では、税金を徴収する国税庁はどう考えているのか。私が知る限り、お布施の金額の目安を明示して国税庁から課税された例は今のところありません。国税庁は「お布施に伴う収入は宗教活動に伴う喜捨金(つまりは寄付的意味合いのお金)なので課税対象にはならない」と説明しています。






 プレゼント
プレゼント 会員登録
会員登録 ログイン
ログイン