今年の七月場所千秋楽で、三賞を受賞した力士たちと一緒に自撮り。玉鷲関(手前)以外は全員20代(写真提供:玉鷲関)

稽古中だったので入り口の外で待っていたら、30分ぐらいして当時の井筒親方(元関脇・逆鉾(さかほこ))が気づいてくれました。「モンゴル人? 相撲をやりたいのか? うちにもモンゴル人いるよ」と声をかけていただき、紹介されたのが後に横綱となる鶴竜(かくりゅう)関(現・音羽山親方)。

「ファンタ グレープ」を出してもらって、それが美味しかったんですよね。しかも、飲んでも飲んでもまた新しいのが出てくる。相撲部屋ってこういうところなのか、すごいな、と思いました。(笑)

その場で鶴竜関に入門の相談をしたところ、モンゴル人力士の草分けである旭鷲山(きょくしゅうざん)関に連絡していただき、当時外国人力士がいなかった片男波(かたおなみ)部屋の先代の親方を紹介してもらうことになりました。

入門が決まる前に、親方とおかみさん、姉さんを含む何人かでホテルで中華のコースを食べたんですけど、同席者があまり食べなかったので、結局自分が4人分ぐらい食べることになってしまったんです。すごく苦しかったけど、頑張って食べたら、その3日後くらいに入門が決まりました。

今考えると、たぶんあのときたくさん食べたことが幸いして、入門につながったんじゃないかと思っています。稽古は我慢すれば誰でもできるけど、たくさん食べるのは誰にでもできることじゃない。

ちなみにその食事のとき、日本語がまだわからなかった自分はほかの方々が話している間、箸袋で小さな鶴を折っていたんです。おかみさんがそれを見て、「ちょうだい」と言ってくれたのをよく覚えています。