大相撲力士の玉鷲関(撮影:須合知也)
幕内最年長の40歳にして、毎場所若々しい相撲で土俵を沸かせる玉鷲関。今年七月場所では、昭和以降最年長となる40歳8ヵ月での金星を獲得し殊勲賞を受賞。さらに通算連続出場回数歴代1位など、記録を更新し続けている。「相撲がずっと楽しい」と口にしている《角界の鉄人》だが、プライベートでは意外な趣味もあって――(構成:古屋美枝 撮影:須合知也)

鶴の折り紙で日本に興味を持った

モンゴル出身の自分が、最初に日本に興味を持ったのは小学生の頃。学習帳の最後のページに載っていた折り紙の「鶴の折り方」を目にしたことがきっかけでした。両親は共働きでしたし、姉さんは勉強で忙しかったので、一人で過ごすことが多かったんです。

普段から、お母さんが端切れを使って手芸をしたり、お父さんが木で物を作ったりする様子を見ていたので、それを真似て自分もぬいぐるみや洋服を作ったり、壊れたおもちゃを直したり。とにかく細かい作業をするのが好きでした。

だから折り紙にもハマって、何度も何度も鶴を折り、ものすごく小さなサイズまで折れるようになりました。今でも折り紙は大好き。本などを見ながらいろいろ折っています。

当時は、相撲にはまったく興味がありませんでした。モンゴルでも日本の相撲は人気で、NHKの大相撲中継が放送されていましたから、もちろん観たことはありましたけど、太った人がぶつかりあっている、としか思っていなかった(笑)。自分が力士になるなんて、考えもしませんでした。

もともと、子どもの頃からスポーツはあまり好きじゃないんです。自分のなかでは、相撲はスポーツではなく「男の闘い」。普通、スポーツでは勝ったら喜ぶじゃないですか。でも自分の場合、たとえ白星をあげたとしても納得できない勝ち方だったらうれしくないこともある。だからスポーツとは別のものだと考えています。