「過去」の出来事を「今」に生かすために
日本史というと、学校で教わった知識のままで止まっている人が多いかもしれません。しかし歴史学の世界では、新たな史料の発見や調査、遺跡の発掘などを通じて、日々研究が進んでいます。お子さんやお孫さんの教科書を覗いてみると、自分が学んでいた頃とずいぶん記述が変わっていることに驚くのではないでしょうか。
歴史の知識をアップデートしていくことは、特にこれからの社会において大事なことだと私は考えています。
というのも、たとえばアメリカでトランプ大統領が国立博物館などの展示から「反米的な思想」を排除するよう求めるなど、特定の勢力が自分たちの主張を通したいがために、歴史を恣意的に解釈する動きが世界の各地で見受けられるからです。
日本においても、「これが伝統だ、昔から決まっていることだ」と声高に言われた時、「それは違うんじゃないか」と反論するには、正しい知識が必要になるでしょう。
過去の出来事を学ぶことは、今の社会が抱える問題を理解し、解決するためのヒントを得ることにもつながります。歴史は、「今」に生かすための知恵の源泉ともいえるのです。
今回は私の専門分野である日本中世史から、「政治」「経済」「文化」「社会」のトピックを抜き出してクイズ形式で解説します。
私が歴史について語る時、大切にしているのは、できるだけその時代のリアルに迫るということ。もちろん近代以前には今のような統計もありませんし、残された史料も限られている。ましてや現代とは社会の仕組みや人々の生活が違い、簡単に比較できないこともあるでしょう。それでも当時の人々のリアルを感じることで、さまざまな発見があると思います。
もし興味を持ったトピックがあれば、ぜひ専門書などにあたって深く勉強してみてください。「こんなことまでわかっているんだ」「今の世の中にも通じる話かもしれない」と好奇心が広がり、より人生が楽しく豊かになっていくことでしょう。