「春野菜のテリーヌ大和当帰ソース」。ソースは奈良で栽培した薬草の大和当帰と白味噌を合わせ、テリーヌのゼリー地はかつおだしがベース。春野菜はブロッコリー、グリーンアスパラ、一寸豆など

奈良のおいしさを味わい尽くす

奈良の旅で、観光の合間のランチはお店が限られいつも悩ましい。そのニーズに応えるかのように、ここ数年“奈良にしかない味”を打ち出すお店が増えてきた。2020年1月にリニューアルオープンした「レストラン囀」もそんな一軒。

奈良の観光情報や食の魅力を発信する複合施設「鹿の舟」の中にあり、以前は喫茶室だったが、地元の食材に創意を加えた月替わりのランチコースが楽しめるように。雑貨好きの間では有名なライフスタイルショップ「くるみの木」が経営することもあって、インテリアや器にもこだわり、果樹や山野草が植えられた庭を眺めながら心地よい時間が過ごせる。

手前から「大和ポークの角煮」「手造り豆腐桜塩添え」。角煮は上質な脂肪が適度に入ったジューシーな肉質の奈良産大和ポーク。青梗菜、れんこんのマリネと盛り合わせに。作りたての自家製豆腐はほんのり温かく、オリーブオイルと桜塩で豆腐の持ち味を引き立てる。3500円のランチコースは写真のほかに料理2品、デザートがつく。器はいずれも安藤雅信作

3月のランチは春の素材をふんだんに使い、地元の「近藤豆腐店」の豆乳を仕入れて作る豆腐には桜塩を、色鮮やかな春野菜のテリーヌには薬草の大和当帰(やまととうき)のソースを添え、目でも舌でも春を感じさせる。

さらに、ジューシーな大和ポークの角煮や、ご覧の料理以外にも筍と蕨の葛うどんパスタやえんどう豆の白味噌粥など、和食をベースにアレンジした料理が全5品。

デザートを食べ終わる頃には、おいしさが穏やかにしみわたり、おなかも心もほっこり。散策や観光の途中、奈良の魅力に触れ、春の滋味を味わうのにぴったりだ。

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