1、2ヶ月分の食料品を常備するのが当たり前

大統領のコロナ軽視発言にフライパンや鍋叩きで抗議することはあるにせよ、ブラジル人は割と大人しくしているなぁというのが、私の印象だ。

もともと、1980年代後半に超ハイパーインフレに見舞われたこともあり、人々は大量買いに慣れている。ここ数年はインフレがまあまあ落ち着いてきたこともあり、以前よりはましになったが、かつては給料をもらうと、すべてのお金を物に換えていた。

ブラジルに来たばかりの頃、日本では買い物かごに半分も買えば終了していた私は、ブラジル人が大きなカートに山のように商品を積んで買い物をしている姿を見て、「えっ、明日、災害でも起きるの?」と思ってしまうほどだった。大型冷凍庫と冷蔵庫、各2台持っている人も多く、1、2ヶ月分の食料品や生活必需品を常備するのが当たり前。そのため、コロナ禍でも買い占め騒動などの大きなパニックには見舞われていない。

またふだんは、サンパウロ市の大気汚染はひどく、1日外を歩いたら、鼻の穴は真っ黒になるほどだった。それがこの新型コロナの影響で車両通行量が減り、空気がきれいになったのはありがたい。

しかしこれから、無くなる職種や消えゆくものが出てくるような不安感がある。コロナのせいで、ストップせざるをえなかった職業が「なんだ、無くてもいいんだ」と判断されるかもしれない。何が残り、何が消えるのかはわからないが、どんなことにも対応できるようにしなければならないのだろう。

その点、もともとブラジルは柔軟でなくては生きていけない国。違反ギリギリの対処を含めて、ブラジル人はこの逆境でもきっと逞しく乗り越えていくのだろう。