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日本よりも1ヵ月以上遅く感染者が出たブラジルだが、すでに感染者数は約4倍(日本=1万2429名、ブラジル=4万9492名)、死者数は約10倍(日本=328名、ブラジル=3313名、2020年4月24日現在)となっている。そんな状況下でも、たくましく生きているブラジル人の日常は――

大統領の暴言に鍋やフライパンを叩き…

2018年の大統領選挙活動中に暴漢に襲われ、腹部をナイフで刺されたボルソナル氏。決して有力候補ではなかったが、事件から一躍有名となり、あれよあれよと言う間に大統領に当選してしまった。「ブラジルのトランプ」などと呼ばれ、政治思想は「極右」に分類されている。

今回の新型コロナ禍に対して、大統領は「ビジネスはこれまで通り行われるべき」「60%~70%の国民が感染することでブラジルに免疫がつく」などと経済優先の発言。人々は大統領のトンデモ発言があるたびに、鍋やフライパンを叩き、抗議の声を上げている。

もちろん、良識ある知事も多く、大統領の発言を無視するかたちで、各州や各市町村単位で外出禁止勧告が出されている。私が住むサンパウロ州でも3月24日からスーパー、薬局、病院を除く、ありとあらゆる店舗、施設が閉まり、仕事も在宅勤務となっている。

おかげで1200万人在住のサンパウロ市の屋外はガラガラ。人も車も少なくなり、静まり返っている。それまでは交通渋滞解消のため、車のナンバーで週に一度走行が禁止された曜日と時間帯が定められていたが、今は規制解除となっている。それほど、道路が空いているのだ。

サンパウロ州の外出禁止勧告は4月7日にさらに2度延長となり、5月10日まで基本的に外出禁止。レストランは宅配弁当のみが認められ、ピザの宅配とUber Eats(ウーベル・イーツ)が大繁盛。それ以外の町の機能は、ほとんどストップしていると言っても過言ではない。がしかし、外出禁止も1ヶ月を越えた頃から、自粛疲れでボチボチと外に出たり、店を開け始めている所も出ており、政治の混乱も含め、感染の拡大が懸念されている。