高齢になると筋力も低下します。特に腰背部の筋肉が減少すると、前に倒れないように後方から背骨を引っ張る力が弱くなり、より腰曲がりが進行してしまうのです。
腰曲がりの中でも、加齢による骨や筋肉の変化で起きるものを「変性後弯症」、骨折が主な原因で起きるものを「外傷性後弯症」と呼んでいます。外傷性後弯症は若い人でも起こりますが、高齢者では変性後弯症と外傷性後湾症が合併した状態も多くみられるのが特徴です。
腰曲がりになると、身体にさまざまな悪影響が出てきます。わかりやすいものでは、腰痛、歩行障害、立位困難など。台所での立ち仕事がつらくなり、お腹でシンクにもたれかかったり、肘をついて作業をしたりしている、という患者さんの話をよく聞きます。
前かがみの姿勢になるため歩きづらく、肩凝りや手足のしびれが出てくる場合も。さらに、曲がった背骨が腹部・胸部を圧迫し続けるため、逆流性食道炎になったり、呼吸機能が低下するなど、症状は内臓を含めた全身に及びます。
メンタル面への影響も見逃せません。腰が曲がっているために年齢より老けて見え、気持ちからも若さが失われる。その結果、外出を避け引きこもりがちになり、認知症を引き起こすきっかけになったり、運動機能の低下が進んだりするケースもあるのです。