言葉の解釈
私たちのコミュニケーションは、感情によっても大きく左右されます。
同じ言葉を聞いたとしても、聞き手の気分や感情の状態によって、意味解釈が変わる可能性があるのです。
「相手の機嫌が悪い時、ふだんなら冗談で通ることが通らなかった」という経験は、このことを表しています。
一般に、言葉の解釈は、その時の気分に一致するような方向で行われます。
これを、解釈における気分一致効果と呼びます(※1)。
これは、私たちが何らかの判断を行う時には、自らの感情状態を手がかりにするために起こるものです。
コミュニケーションを取る前にポジティブな感情状態であれば、相手の発話をポジティブにとらえ、逆に、ネガティブな感情状態であれば、相手の発話をネガティブにとらえる傾向があります。
私たちは、自分がもともと怒っていたために相手の言葉を悪意に受け取ったのか、それとも、相手の悪意ある発言に自分が怒ったのかを区別することが苦手です。
そのため、自分が怒っているのは、相手が悪意のある嫌なことを言ったせいだと感じてしまいがちなのです。
※1 Forgas, J. P. & Bower, G. H. 1987 Mood effects on person-perception judgments. Journal of Personality and Social Psychology, 53(1), 53-60.