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「善意で言ったつもりが悪意として受け取られてしまった」「説明を真逆に解釈されてしまった」など、自分の言ったことが誤解され、上手く伝わらなかった経験はありませんか。「誤解を解くこと以上に大切なのは、『相手にどう伝わるか』を事前に考えることではないでしょうか」と語るのは、認知心理学を専門とする、三宮真智子大阪大学・鳴門教育大学名誉教授です。そこで今回は、先生の著書『なぜ、あなたの話し方は誤解されるのか~意図を正しく伝えるためのメタ認知』から一部を抜粋し、自分の意図を正しく伝えるコミュニケーションの方法をご紹介します。

「悪意ある発言」の9割は思い違い?――気分や感情による誤解

「ひどいことを言われた。なぜあんなことを言われなければならないのだろう」

そんなふうに感じたことはありませんか? 実は、私たちは、人から言われたことに過剰反応をしてしまう場合があるのです。

とりわけ、不安な気持ちでビクビクしている時や落ち込んでいる時、イライラしている時、あるいは相手にネガティブな感情を抱いている時などには、相手の言葉を悪意に解釈してしまいがちです。

ところが実際には、悪意のある発言ではないことも案外多いのです。

Aさんは、仕事で大きな失敗をして落ち込んでいました。友人に聞いてもらい、励ましてほしいと考えたAさんは、電話でいきさつを話しました。すると友人は、「まあ、そんなものだよね」との返事。

「キミの実力は、まあ、そんなものだよね」と受け取ったAさんは、いよいよ落ち込みました。

ところが、友人は、「仕事って、まあ、そんなものだよね(だから、気にするなよ)」と言いたかったのです。

相手の気持ちが落ち込んでいる時には、特に言い方に慎重になる必要があります。ネガティブに解釈されかねない言い回しは、避けましょう。