適職探しでチェックしておきたいポイント
もっとも、適職探しの場面において「その会社には『小さな達成感』を得られる環境が整っているか?」を調べるのは難しいものがあります。現代で「小さな達成感」を意識している企業は少数派で、現場マネージャーの裁量に頼りっきりなケースが多いからです。
先のハーバード研究によれば、およそ95%のマネージャーが「従業員のやる気を高めるには給与を与えて褒めるのがベストだ」と答えたとのこと。世の中に「小さな達成感」の重要性が知れわたるまでには、まだ時間が必要です。
その点をふまえたうえで、適職探しでチェックしておきたいポイントは、次のようになります。
*仕事のフィードバックはどのように得られるか?
*仕事の成果とフィードバックが切り離されていないか?
たとえば、あなたが料理人だったとしましょう。このとき、自分で作った料理にお客さんが喜ぶ姿を自らの目で確認できれば、あなたはすぐに結果のフィードバックを受けられ、小さな達成感を細かく味わうことができます。
しかし、その一方では、料理人が厨房にこもりきりでお客さんのリアクションを見られないケースもあるでしょう。効率化のためにはしかたない処置ではありますが、このような環境では、どうしてもあなたの達成感は減ってしまうはずです。
逆に言えば、どれだけ楽しそうな仕事だろうが、フィードバックを得るまでに1ヶ月もかかるようではモチベーションは向上しません。あくまで目指すべきゴールがハッキリしており、自分の作業へのフィードバックが即座に得られるような仕事が理想です。
※本稿は、『新版 科学的な適職』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。
『新版 科学的な適職』(著:鈴木祐/クロスメディア・パブリッシング)
本書は、サイエンスジャーナリストの著者が、膨大な研究データを分析し、人間の幸福度を最大化する仕事選びの方法を「AWAKE」という5つのステップで体系化しました。
性格テストや直感に頼らず、「仕事の自由度」「達成感」「明確さ」など7つの徳目をベースに、科学的に正しい意思決定を行うための実践的なツールを提供します。




