「健康は足元から」今日から始める“鼻緒”健康生活

日本人は、古墳時代(3世紀後半ごろ)から、1960年代の高度経済成長時代まで、長らく鼻緒主体の生活を送ってきました。

靴主体の生活をしだしたのはほんの60年ほど前からです。対して西欧人は旧石器時代(2~3万年前)から靴を履き始め、中世(5世紀ごろ)には、広く庶民も靴生活をしていました。しかも西欧人は、ベッドでくつろぐとき以外はほぼ一日中靴を履いて生活をしてきました。

この長い生活習慣の違いにより、日本人は骨盤が後ろに傾きやすく、足は凹脚(O脚)気味。そのため、靴を履いてかかと重心になると骨盤がさらに後ろに倒れやすく、それを補うために猫背になりやすいのです。一方、欧米人は骨盤が前傾気味で足も長くX脚傾向があるため、かかと重心でも腰が後ろに傾きにくく、猫背にはなりにくいという特徴があります。

靴を履く際には、インソールを入れるなどして、足裏にかかる体の重心を整えること。それと、室内ではスリッパではなく、鼻緒のついた上履きを履くなどして、足の指に力を入れる訓練をすることが猫背の予防になり、また足腰の筋肉が強化され、足腰の痛みと縁遠い生活につながると思います。

なによりの足腰健康法は着物を着る時間を増やすことです。

太い帯をお腹に巻くので、自然に背筋が伸びます。さらに鼻緒生活は足指重心なので、二重に猫背にはなりにくく、腰や膝、足指への負担は軽くなります。着物で正座と立つ動作を繰り返す生活は、自然に足腰の鍛錬にもつながります。

私はもう還暦を過ぎた初老の身ですが、着物姿で歩いていると、出会う方や周りから「素敵ですね」とのお声をいただくことがあります。

そうです、着物はさらに、心の健康にも最高の一品なのです!

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