年齢を重ねるほどに、装いよりも立ち居振る舞いや所作が人の印象を左右するようになります。そんな中、その美しさを引き出してくれる存在として、「ぜひ着物に注目してほしい」と話すのが山陰地方で呉服店「和想館」を営む、和と着物の専門家・池田訓之さんです。池田さんは「着物には、着るだけで自然と佇まいの美しさが磨かれる不思議な力がある」と語ります。着物がもたらす所作の変化について、池田さんに解説いただきました。
“佇まい”への注目
近年、人が他人へ注ぐ興味の形態は、静止画から動画に変わりつつありますね。例えば、世間の流れをリサーチする方法として、facebookやInstagramで写真を覗く生活からTikTokやInstagramのリール動画など動画が主流になりつつあるのは、その表れでしょう。
「1分の動画には180万字分の情報量がある」といわれているように、動画は静止画よりも情報伝達にすぐれているので、情報伝達量の飛躍的増大を実現した今日では、この動画への流れは今後さらに高まっていくはずです。
一方で、この変化に対応しようと、「美しい立ち居振る舞い」に関する特集が雑誌、InstagramやTikTokなどのSNS、文化教室などで人気を博しているようです。
でも、わざわざ教室に通ったり、勉強しなくでも、自然に佇まいを美しくしてくれる方法があります。それは「着物」です。着るだけで佇まいを美しく改めてくれる、この魔法のツールについてお話ししますので、少々お付き合いくださいませ。