着物が生む自然な美しさ
1.歩き方
まず顕著なのは歩幅です。夏祭りなどに行く際に浴衣を着てみたところ、裾が長くてつまづいたり歩きづらいと感じた方ことがある方は多いことでしょう。でも、それが着物の特徴なのです。慣れると自然に歩幅が小さくなり、すり足に近い静かな歩き方になります。
2.手の動き
手の動きも自然と変わります。着物の袖(そで)は長いので、手の動きを意識しなければ不格好に見えてしまいます。そのため、物を受け取る、座る、歩くといった様々な場面で手先や指先の動きを自然と整えることになります。
たとえば、洋服を着ているときは、物を取る際に、取ろうとする手だけを伸ばしますね。
しかし、着物を着ていると、同じようにはいきません。
右手で物を取ろうとして右手だけを前に出すと、長い袖が手の下の物に触れて汚れてしまいます。そのため、自然と左手で右の袖口を軽く押さえ、両手を添えるようにして物を取る動作に変わるのです。
3.立ち方・座り方
さらに、立ち方や座り方も変化します。帯を締めていると前かがみになりにくく、背筋を伸ばさなければ楽に呼吸ができません。結果として姿勢が正され、立っているときや歩いているとき、椅子に腰を掛けるときなど、自然に整った佇まいが身につきます。