叙情性やロマンチシズムは、心のビタミン

私は16歳のとき、クラシックの歌手を目指して上京し、銀座の喫茶店「ブランスウィック」でボーイとして働き始めました。江戸川乱歩さんなど著名人が訪れる知る人ぞ知る店でしたが、常連のお一人だったのが作家の三島由紀夫さん。三島さんは私に会うとよく、「キミはどう見ても、華宵描くところの美少年だね」と言ってくださり、私はこれを最高の褒め言葉だと受け止めていました。

私は、夢二や高畠華宵などの叙情画家がもっと高く評価されてほしいと思っています。というのも、現代の少年少女から、かつて夢二らが広めた人間にとって大切なもの、つまり叙情性やロマンチシズム、上品さ、優しさなどが失われつつあるからです。叙情性やロマンチシズムは、心のビタミン。私たちが心豊かに生きるうえで必要不可欠なものです。

弥生美術館と、のちに併設された竹久夢二美術館では、華宵や夢二らの原画を見ることができますので、お時間のあるときに足を運んでみてはいかがでしょう。

 

●今月の書「大正ロマン」

大正ロマン
(書:美輪明宏)

 

 

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美輪明宏 「〈何かしてあげる〉といった恩着せがましい態度は、自己満足の表れ。他人の領域に無遠慮に踏み込まない〈奥ゆかしさ〉を身につけたい」
美輪明宏 「馬車馬のように働いていても、今よりすべてがのんびりしていた昭和の時代。情報過多の現代は《情報断食期間》で心の潤いを」
美輪明宏 「ゆっくりとしか歩けなくなっても〈すみません〉ではなく〈おそれ入ります〉と先を譲る。優雅な言葉を纏い、人生を前向きに楽しんで」

あなたの人生を導く-美輪ことば」(著: 美輪明宏/ 中央公論新社)

「微笑みは開運の鍵」

「ルンルンルン」

「自分にも感謝を与えてください」

「地獄、極楽は胸三寸にあり」

美輪明宏さんが89年の人生をかけて大切にしてきた言葉が満載!

~~~自筆の「書」とともに綴る愛のエッセイ!~~