ある「真実」に気づいてしまった

そして、女性はある「真実」に気づいてしまい愕然とし、同時に虚しさを覚えたという。

「わたしが当初ターゲットにした子どもたちは、そもそも一人きりで夕食をとることに慣れきっていて、それを別に寂しいとは微塵も感じていない。むしろ動画を見ながら自由にしていられる時間を手に入れているのかもしれない……そういうことに気づいてしまったのですよ」

この話でわたしが再確認させられたのは、ネオ・ネグレクトとはそれを受けている当人も、それと自覚しづらい性質を持つ点である。

※本稿は、『ネオ・ネグレクト 外注される子どもたち』(祥伝社)の一部を再編集したものです。

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ネオ・ネグレクト 外注される子どもたち』(著:矢野耕平/祥伝社)

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