罰則付きの「指令」には補償がセット

ドイツ政府は新型コロナウイルス対策として、1560億ユーロ(約19兆円)を計上した。

「財政即刻支援金」は、新型コロナウイルスにより経済的損失を受けた人のためのもので、 フリーランスから50人以下の従業員を抱える事業者まで、3ヶ月分の運営経費として、従業員数により最大2万5000ユーロ(約300万円)まで支給する。証拠書類の提出は必要ないが、 後日抜き打ちで審査することがあり、 関係書類は10年間保管の必要がある。

また融資を受けにくい企業のために国が、6000億ユーロ(72兆円)分の保証人となることも決定した。ドイツは日本と違って営業停止は「自粛」ではなく、罰則付きの「指令」であるため、補償がセットとなっている。

さらに会社員には、仕事減で給与が減る分の 60%(子どものいない人)か67%(子どものいる人)を国が補填する「短縮勤務」の制度がある。企業による解雇を防ぐ効果がある一方、事態が収束すればすぐさま通常運転が可能なため、社員と企業双方にメリットがある。

もともと福祉制度がしっかりしているため、万が一仕事を失っても生活保護を受けることができ、路頭に迷う心配はない。

ドイツには16の州があり、州や自治体によってもさまざま助成金がある。ベルリンではフリーランスや個人事業者は、証明書類の必要なく、申請すれば翌日か翌々日に5000ユーロ振り込まれるという支援金があった。ところが、この支援金、3月末で急に打ち切りに。おそらく、申込者が殺到したせいだろう。結局早い者勝ちとなり不公平感が残ったが、この5000ユーロは収入として換算されるので、確定申告の際に申告する必要がある。結局、年間収入が多ければ、税金として国に納めることになるのだ。

また医療の最前線で重要な役割を果たしている看護職や介護職には、国が1500ユーロの特別手当を6月に支給することを決めた。