人生の転換期が訪れるたびに、『婦人公論』に登場してくださっている上沼恵美子さん。今年は「70歳」という大きな節目―日々の暮らしや気持ちに変化はあったのでしょうか。(撮影:浅井佳代子 構成:篠藤ゆり)
同年代の夫婦が集ううどん屋さんで
今年4月に古希を迎えました。夫の時はちょっといいお店でご馳走したのに、夫は何もしてくれませんでした。誕生日にメールひとつ届きません。
しょうがないから、本屋さんに行って自分でバースデーカードを買いました。飛行機の形になっていて、ボタンを押すと「幸せの席にご搭乗くださり、ありがとうございます。これから幸せな一年に出発します」と声が出るんです。
それをポチッと押すたびに泣きました。寂しくて。今も自分の部屋に飾っています。
息子からはメールと500円くらいのプレゼントをもらって、嬉しかったですよ。でも、やっぱり夫に祝ってもらいたかった。
だって、70歳って特別な節目でしょう。誕生日から2ヵ月経って「私、古希なんよ」と言ったら、「あぁ、はいはい」。これは死ぬまで根に持ちます。