家に巨大な仏壇が…

母の結婚後、私はその宗教に違和感を持つようになりました。父の実家は仏教徒でした。父の言っていることの方が私の中ではしっくりきた。だから私はだんだん父寄りの考えになっていきました。

私たちは団地の2LDKの部屋で生活していたのですが、私が中学生になったころのある日、6畳もない狭い部屋に母が巨大な仏壇を持ち込んだんです。部屋のかなりのスペースを使ってバン!と置かれたので、私も父もすごく驚いて。母は手彫りだと自慢げに話していましたが、まさか、あんなものを家族に相談なしに買うとは…

タイタン社長 太田光代さん
タイタン社長 太田光代さん

<光代さんは17歳になったばかりの頃、家を出る決意をする。高校生ながら一人暮らしを始め、バイトに明け暮れることに。一時期は学費の支払いを止められていたため自分で負担していたという>

母はとにかく怒る時は急に怒るタイプ。包丁が飛んできたこともあります。聞き上手なんですけれど、表裏がすごくある。私は表裏をできるだけ作りたくなくて、母を反面教師にしていました。

『社長問題! 私のお笑い繁盛記』(著:太田光代/文藝春秋)書影
『社長問題! 私のお笑い繁盛記』(著:太田光代/文藝春秋)

こっちが黙っていても激しく責められる。ある時、いやなことを言われてあんまりにも頭にきて、私、母を蹴り飛ばしちゃったんです。後日、母がお風呂から上がってきたら、体にものすごいあざがあった。「それ、どうしたの?」って言ったら、「あなたがこの間蹴ったでしょ?」と返されて、「ああ、このままなら私はもうこの人に何をするか分からない」「母親を殺してしまうかもしれない」と自分が怖くなっちゃったんですよ。

だから17歳になってすぐ家を出ました。母の何もかもが耐えられなくなったということもあります。海外だと17歳は「もう大人」として扱われて、一人暮らしする人も多いですし。保険の営業をしていた母は私名義で保険をかけていたのですが、私が一人暮らしをした後、保険料を「払え」と言ってきたので、しょうがなく支払っていました。私が入った保険じゃないけれど、私の名前で加入しているわけですし。でも、保険金の受け取り人は母でしたけどね。