これは……とあたしは驚愕した。

猫には、フィクションを楽しむ力があるということか。もしやエリックとあたしは、「猫じゃらし」という名の「ごっこ遊び」をしてるのではないか。

「ごっこ遊び」とは、「子どもが誰かや何かになりきったり、身の回りのものを別のものに見立てたりして、想像力を働かせながらストーリーを展開する遊び」とAIさんが言っている。

キング・オブ・猫じゃらしの名をほしいままにしたテイラーは、成猫になったら、つかまえた猫じゃらしを離さず、くわえたまま自分の場所にひきずっていくようになった。ひもがこんがらがって使い物にならなくなった猫じゃらしがいくつもそこにたまっていった。くわえていかれたら、遊びは終わる。つまらないから、あたしも遊ばなくなった。

メイは脳がとんがってるんじゃないかと思えるほど賢い猫だが、猫じゃらしは遊ばなかった。テイラーがはしゃぎすぎてぜんぶ持って行っちゃったせいかもしれないが、メイはいつも少し離れたところから見つめているだけだった。三猫三様である。