もう一つの仕事

Jさんはもう一つ、シルバー人材センターから紹介された仕事を受け持っている。学童保育から下校する子どもたちに付き添う、「学童パトロール」だ。

「小学校の低学年のお子さんの学童保育からの帰り道を見守る仕事です。16〜18時頃まで、子どもたちを家まで送る。たいてい6人ほどの集団に付き添い、学童と子どもたちの家を3〜4往復くらいします」

(写真はイメージ。写真提供:Photo AC)

携わるのは週に2〜3日。子どもに関わる仕事は初めてだ。まだ孫もいないJさんには新鮮なひと時だが、責任が伴うために公園の清掃よりは緊張感がある。

「車道に飛び出す子、おしゃべりをし過ぎて前を見ないで歩く子もいますから、ハラハラしながら見守っています」

目まぐるしい毎日だが、Jさんは充実しているようだ。

取材をしていると、年金や貯蓄など経済的なゆとりがあるシニアほど、仕事に前向きに取り組んでいる印象がある。仕事の選択肢の幅が狭いシニアにとって、健康や家族の励ましまで含めた心理的安全性が、働き続けるためには重要かもしれない。