「ひねくれた大人役」が多い?
俳優の稲垣吾郎には、職人気質だったり、ちょっと偏屈だったり。ミステリアスなところがあるような役が来ることが多いと思っています。いわゆる「ひねくれた大人」や「難しい大人」。
でも、僕はシンプルな人間だし、そんなに思慮深くもない。眉間にしわを寄せているような役をいただくことが多いですが、穏やかで考えすぎないタイプです。ただ、演劇は、悲劇でも喜劇でも主人公が苦悩するから面白い。苦悩が似合う人間でいたいとは思っています。
俳優として、「この役は稲垣さんをイメージしたんです」という言葉をもらうと、すごくうれしい。映像でも舞台でも、常にそうやってなんとなく思い出してもらえるような存在じゃないと俳優は使ってもらえないですから。
いただく役やパブリックイメージは実際の自分と違うところがあったり、なかったりしますが、そこは面白がってやっています。自分がどういうイメージなのか、俯瞰で観ることは俳優としては大切なことかもしれません。どこか冷めた自分がいないといけない。
一方で、熱くなって無我夢中な人間に人は心を奪われるので、「冷めた自分はダメだな。来世は熱い俳優になりたい」と思うこともあります。(笑)