成長する時間と猶予を与えたかった

――結婚の挨拶パーティーでの三之丞への思いを教えてください。

「人に使われるのではなく、人を使う人間になりなさい」とは以前に三之丞にかけた言葉だと思いますが、タエ自身はそういう古い凝り固まった考え方をとっくに捨てています。

“雨清水タエ”は一度死んだつもりで物乞いまでして息子を生かしてきたのに、自分の一言がここまで彼の中に残り続け、追い詰めていたのかと責任を感じました。

タエとしては今も昔も一貫して息子を大事にしているつもりなんです。没落前は三男だから家を継ぐプレッシャーを背負わずに自由に生きてくれればいいと思っていましたし、没落後は自分が父親代わりも務めて大事な息子を何とか生かしてきました。

三之丞のうそを承知の上で指摘しなかったのも、彼のプライドを傷つけたら立ち上がることができない人間になってしまうと思っていたから。今はまだうそを暴かず、息子に成長する時間と猶予を与えたいと考えていたと思います。

(『ばけばけ』/(c)NHK)

それなのにパーティーで三之丞から恥さらしのひどい息子だと聞いた時は、こんな言葉を言わせてしまったと非常に胸が締め付けられる思いでした。みんなの前で言わせてしまいましたが、それまでタエと三之丞の間にあった大きな溝が埋められて本当に良かったです。