食い入るように見てしまう

目を背けたいような凄惨なシーンが続くのに、食い入るように見てしまうのは、この作品自体が素晴らしい志や最高のスタッフでつくられているからと、登場人物がみな自分なりの処世術や信念をもち、強く生きているからだろう。

『ROOTS』に登場する黒人奴隷たちの多くは、隷従の中にあっても誇り、自分なりの処世術や仲間への優しさを持っていて、人間性を失っていない。誰もが魅力的で、要するに「キャラがたっている」から、どんどん引き込まれるのだ。

やがてクンタは同じ農場奴隷のベルと結婚、娘キジーが生まれる。そうして続いていく数世代が、アメリカでの一族の祖・クンタ・キンテからの物語を語り継ぎながら、奴隷制度や差別と闘っていく。これこそがまさに「大河ドラマ」。感動せずにいられないのである。

長い物語で登場人物も多いので、観るのは大変なのだが、壮大な物語が見事なカメラワークと脚本、時代考証の上で描かれるから、一気見してしまう。1977年当時、全米でも日本でも8夜連続という形で放映され、アメリカで平均視聴率44%という高視聴率をたたき出したのも頷ける。クインシー・ジョーンズによるテーマ曲も印象的だ。

それにしても、白人の「黒歴史」である奴隷制度を、白人スタッフや映画会社が真っ向から見つめた功績は称えられるべきだろう。以前、「『風と共に去りぬ』では、農場主と黒人奴隷との関係が美化されすぎている」と非難を受けている点に触れたが、『ROOTS』は、黒人から見た奴隷制度の悲惨さを、逃げることなく描写している。歴史にはいつも表と裏がある。だからぜひ暗黒の部分も見てほしいのだ。

かのKKK団による黒人集落の焼き討ち、黒人の女性と結婚しようとする兄弟に、ライフルを突き付けて阻止しようとする白人家族の姿など、「差別というのはここまで激しいものなのか」とショックを受けるほどだ。しかし同時に、闘う黒人たちを理解し、助けようとする白人も現れてくる。そうして歴史は変わってきたのだ。オリンピックなどさまざまなジャンルで活躍する現在の黒人の人々は、そういう歴史を乗り越えてきていることを、私たちは知らなくてはならない。

シーズン2ではリンカーンやキング牧師、マルコムXなども登場。歴史の勉強にもなるので、お子さんが10歳か(この年齢はそれぞれの親御さんが判断下さい!!)、中学生くらいになっていれば、親子で語り合いながら見る価値があります。