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1989年に漫画家デビュー、その後、膠原病と闘いながら、作家・歌手・画家としても活動しているさかもと未明さんは、子どもの頃から大の映画好き。古今東西のさまざまな作品について、愛をこめて語りつくします!(写真・イラスト:筆者)

作者自らの家系を綴った小説が原作のテレビドラマ『ROOTS』

「汝の名はクンタ・キンテ。汝より偉大なりはアッラーのみ」

アフリカのガンビアで、オモロの息子として生まれたクンタは、生後間もなく満天の星の下、天空に向かって父親に両腕で持ち上げられ、命名される。彼が生まれたのは1750年、日本の江戸中期だ。

『ROOTS』は、アレックス・ヘイリーが自らの家系を綴った小説を原作としたテレビドラマシリーズだ。日本では1977年秋にテレビ朝日で放送された。冒頭のような神秘的な命名の儀式は、自然と共生するアフリカの文化の豊かさ、精神性の高さを語ってあまりある。このシーンは番組のオープニングで何度も繰り返され、当時12歳だった私の心に深く焼き付いた。

しかし、250年ほど前の欧米は、このようなアフリカの文化生活の豊かさ、精神性の崇高さを理解しなかった。レヴィ=ストロースが「悲しき熱帯」を発表し、「文化人類学」という学問ジャンルが注目されるのが1955年。20世紀初頭まで、西欧は「自分たちの生活様式こそが先進的で最高」と信じ、アフリカなど様式の違う文化生活は「野蛮」で「遅れている」と考えたのだ。そして、そんな文化の中に住む肌の色の違う人々は、「無償で労働させるのに都合のよい動物」だと思われた。

アフリカの部族は文字を持たない場合が多いが(撮影当時)、頭脳は勿論明晰であり、言葉も持つ。また、口伝による歴史の伝達の能力は驚くばかり。この口伝の凄さは、シーズン2の最終部で私たちの心を深く揺さぶる。

しかし番組の中では、「奴ら(黒人)は知性劣悪なので」「言葉など話さず、唸るだけです」など、聞いてびっくりの差別発言が連発される。当時の西欧(白人社会)が、有色人種をどう見ていたかが、実によくわかる。