それで何回も警察沙汰になるわけですね。
――ええ(笑)。裸で路上にゴローンとしてても、そのポーズから何か訴えてるように見える踊りをやっていました。するとすぐ警察が来て、シートでぐるぐる巻きにされてパトカーにポーンと投げ込まれて、気がつくと独房にいる。
あの頃は路上ストリーキングなんかも流行ってたし、パトカーにはそれ用のシートがちゃんと積んであったんですかね……。(笑)
勾留は丸三日。初めて捕まった時は新聞にすぐ出ましたが、僕は結構あちこちの大学で踊ったりしてたんで、学生たちが大勢駆けつけて「釈放せよ!」って訴えてくれました。
ちょうどその頃、野坂昭如さんの『四畳半襖の下張』猥褻裁判中で、検察も判断が難しいのか、処分保留にするわけですよ。
テレビのワイドショーでは、この事件について賑やかに「やぁねぇ、家でやればいいのに」とか「目立ちたいのよね」とか言われてました。
築地の警察に捕まったとき、当時、先鋭で著名な『毎日新聞』の記者が、土方巽さんを取材し、僕の逮捕に関して「田中泯はこの十年間に現れた前衛舞踊家の中で最も真摯な踊り手だ」とコメントしてくれ、僕はそれを記事で読んだ。まだ彼に出会ってなかった時期です。