「舞台をやり遂げた充実感と「もう終わっちゃった」という喪失感が同じくらい押し寄せてきて、「もっとこの気持ちを味わいたい」と強く感じたことを覚えています」(撮影:本社写真部)
劇団EXILEの一員として、映像作品や舞台で独特の存在感を見せる青柳翔さん。その青柳さんが、7月にこまつ座の舞台に挑戦するという。故・井上ひさしが愛した、伝統ある舞台の主演に抜擢された今の心境から、プライベートの過ごし方まで聞きました(構成=上田恵子 撮影=本社写真部)

目指すものが歌から芝居に

出身は北海道の札幌です。もともとはサッカー少年でしたが、歌に興味を持ち、プロの歌い手を目指すようになりました。単純にカラオケが好きでしたし、友達のラップを聞いたり、『ASAYAN』を観たりしていましたから。

そして受けたオーディションが、2006年の「EXILE VOCAL BATTLE AUDITION」です。これはEXILEの新ボーカルを決めるオーディションで、この時に選ばれたのが現在EXILEで活躍しているTAKAHIROさん。当時の自分の映像を見返すと、我ながら「よくもまあ、これで受けようと思ったよな」と驚くようなレベルで(笑)。もちろんその時は自信満々だったわけですが……。そんなにも意識が低かった自分を拾ってくれた事務所(LDH JAPAN)の人には、感謝しかないですね。

オーディションの後、事務所が運営するEXPG札幌校に入らないかと声を掛けてもらって、歌とダンス、そして芝居の勉強をすることになりました。ところが歌のほうは、なんとなく自分の先行きが見えてしまって。なにしろ、周囲の友達がどんどんデビューしていく。焦りますよね。「これからは歌ではなく芝居の道だ!」と気持ちを切り替えたものの、当時、札幌校の演技のレッスンは月に1回のみ。それでは絶対に成功できない。そこで札幌を離れて上京することに決めたのです。22歳の時でした。

 

劇団で仲のいいメンバーは

東京では、飲食店でアルバイトをしながら演技のレッスンを受けていました。芝居の道に進もうと本当の意味で心が定まったのは、舞台『あたっくNo.1』(2009年)に出演してから。やり遂げた充実感と「もう終わっちゃった」という喪失感が同じくらい押し寄せてきて、「もっとこの気持ちを味わいたい」と強く感じたことを覚えています。

駆け出しの頃からずっと仲がいいのは、劇団EXILEの秋山(真太郎)さんと小澤(雄太)ですね。この2人とはたまに集まって話したりしますし、何かあったらムカつくのもこのメンバー。この間も一緒に舞台をやっていたんですが、稽古を始めて1週間ほどで壁にぶつかってしまって。「これどーするよ?」って真剣に悩んでいて、ふと小澤を見たら『鬼滅の刃』を読んでいた。え、今ここで読むか? さすがに怒りました。(笑)

とはいえ、何かあったら相談するのはやっぱりその2人。後輩にはどこか気を使っている部分がありますし、最近は、事務所に所属しているメンバー全員で集まる機会も、昔ほどなくなりました。そもそも後輩の人数がめちゃくちゃ増えていて、中にはちゃんと話したことがない子もいるくらいです。ランページ(THE RAMPAGE from EXILE TRIBE)なんて1グループ16人もいますからね……。