会見で、私の使命は「継承と挑戦」とお話ししました。長い歴史の中では将棋人気にも波があるものです。近年では、「藤井フィーバー」を生んだ藤井聡太さんや、伊藤匠さんたち若手棋士の活躍に注目が集まっていて、盛り上がりを感じています。
24年は連盟の100周年と、東京と大阪の将棋会館の移転・建設も話題に。そして、AI将棋が親しまれるようになったり、対局会場やオンラインで観戦して楽しむ「観る将」がニュースに取り上げられたりと明るい話題が続いています。
しかし私たち棋士は、「形勢がいいときほど、悪くなったときのことを考える」性分なのです(笑)。形勢がいいときに慢心してしまうと読みが浅くなったり、都合よく考えたりしてしまうもの。将棋界が注目されている「今」だからこそ、「先」を見据え新たな挑戦をしていかなければと考えています。
昨年、東京・千駄ヶ谷駅前に移転した将棋会館には、以前のように一般の方が将棋を楽しんだり、指導を受けたりできる「将棋道場」があります。さらにカフェやショップを併設していて、会館と知らずにカフェでお茶をした方が、将棋に興味を持ってくださることも増えているようです。
これまで将棋界がご縁のなかったファッションブランドと提携してコラボ商品を販売したり、サッカーや競馬などのスポーツ業界と一緒にイベントを開いたり、いろいろな試みを進めてきました。さらに、海外での対局を増やす計画や大人の初心者向け教室の構想もあります。
今は時間がいくらあっても足りません。趣味の読書も〈積ん読〉の山が高くなるばかりで、茶道の稽古も休みがち。体力、実力が追いつかない状態ですが、集中力だけは今までになく冴えている感覚があります。