「中学に入った頃から少しずつ欲が出て、父に〈もっと実力をつけたい〉と願い出ました。するとその日からガラッと教え方が変わり…」

父が教えてくれた楽しさと厳しさ

東京の自宅で両親と3人暮らしをしています。帰りが遅くなった日は母が用意してくれた食事でほっと一息。いまだに生活全般、甘えっぱなしです。父は、私が会長に選出されたと聞いたとき、絶句していました(笑)。理事を兼務していたときも、家族旅行にも行けない忙しさだったので、「そろそろ理事を辞めるのかと思っていたのに」と。

でも、そんな私に将棋を教えたのは、父なんですよ。若い頃から将棋が趣味で、勤めのかたわら自宅で教室を開いていました。私はどちらかというと外で遊ぶほうが好きなお転婆でしたが、父は将棋の教え方が本当にうまかった。

盤に向かえば褒めてくれ、勝たせてくれ、指し手を間違えても頭ごなしに叱らない。「なぜそう考えたんだい?」と訊いて、私がちゃんと説明ができればまた褒めてくれました。

将棋は負けを認めた側が「参りました」と頭を下げるなど、礼儀を大切にします。父もその面ではとても厳しく、姿勢や態度、言葉遣いが悪いと容赦なく叱られました。今も「指す手が美しい」と褒めていただくのは、父の教えのおかげかもしれません。