精神・神経疾患の存在
高齢者は、精神・神経疾患を抱えている頻度が高い。これには、認知症やパーキンソン病のように脳細胞に変化が生じている脳障害と、不眠、うつ病、せん妄のような気分の変調による病状などがある。
軽症の病態は見逃されやすく、治療で精神的に大きなストレスに直面したときに顕在化し、対応に苦慮することがある。
短い平均余命
高齢者は、若年者に比べて平均余命が短い。そこで、高齢がん患者の治療においては、治療のもたらす利益と不利益を慎重に比較検討しなければならない。若い世代であれば、治療に伴う一定のリスクを冒したとしても、治療が成功し、治癒または延命が達成されれば人生にとって大きな利益が見込める。
一方、高齢者の場合には、危険を冒して得られる余命と、治療に伴う副作用・合併症・後遺症、さらには、治癒や延命が達成されたのちの「生活の質(QOL)」などを比較した場合、利益が十分に大きいとはいえない場合がある。そこで、医療スタッフは、高齢がん患者が治療に耐え、健康を取り戻すことが可能か否かを、「身体・精神状態」、「診察・検査所見」、「理解能力」などを参考に判断している。