ドイツ史上初の女性首相、アンゲラ・メルケル氏(写真提供:AFLO)

男性優位社会で生き残るためには

さて、ここまで読むと「やっぱり女性こそが優秀で清廉なのでは?」と思いたくなるでしょう。しかし汚職疑惑で罷免された韓国の朴槿恵前大統領や、少数民族の迫害を黙認して国際人権団体から批判されているミャンマーのアウン・サン・スー・チー国家顧問など、問題のある女性リーダーもいます。

昨年12月に世界最年少の34歳で就任したばかりのフィンランドのマリン首相も、コロナ危機で打撃を受けた企業への政府の資金援助の基準が不明確であることに対する不安が広がるなか、このほど夫が取締役を務めるソフトウェア会社に政府の資金配分機関から多額の支援金が支給されていたことが判明し、釈明に追われています。

「女性なら誰でも男性より優れている」と安易に決めつけるのは、人の能力を性別で判断するという点では男尊女卑と変わりません。

昨年、『ハーバード・ビジネス・レビュー』に掲載されたリーダーシップ育成コンサルタント会社の調査では、19項目のリーダーシップ能力のうち、17項目で女性が男性を上回っていました。にもかかわらず、女性は自分の能力を低く見積もりがちであることも判明しています。

男性優位社会では、女性は多くの男性との不利な競争において、強引さでは勝ち目がありません。マッチョな鍔迫り合いの間隙を縫って、ライバルたちと差別化して生き残るためには、「話のわかる女」として力のある男性に引き上げてもらうか、その土俵とは適度に距離を置いて実績を積み、土俵の外に味方を作るかです。

権力者頼みの前者はナンバー2か操り人形になるのが限界ですが、後者は多くの支持があればトップの座につくチャンスがあります。人々に「女のくせに」というバイアスさえなければ。