「私、こんな人と結婚していたんだ」
それ以外、夫がでかけることはほとんどなかった。そして、テレビを見ている時やたまの外出の際、はやりの格好をしていたり、髪を派手に染めたりする人を見かけると、いつも口にした。
「変な格好だ」「なんでこんな髪の色にしてるんだ」
「見かけで人を判断しちゃ駄目よ」。女性の言葉は響かなかった。
車を運転すると、ぴったり後ろにつく車に怒り、急ブレーキを踏む。「事故になるからやめて!」と注意すると「分からないやつには、やらないと駄目なんだ」。
「私、こんな人と結婚していたんだ」
食い違う会話とけんかの末、夫の人柄に改めて気づき、がっかりしたのは、夫の退職後、1年が過ぎるころだった。