「お母さん、うつ病になったみたいだよ」

「緩衝材」だった子どもたちも家庭を持ったり就職したりして、家を出てしまった。二人の娘に愚痴をこぼすと、「お父さんはそういう人だから、仕方ないよ」。

次第に不満を心の奥にしまい込むと、今度は次女に言われた。

「お母さん、ボソボソしゃべって何を言っているか聞こえない。なんか暗い顔をしてる。うつ病になったみたいだよ」

とっさに「お父さんのせいだ」と返した。原因は分かっていても、我慢しなきゃしょうがない。でも、一緒にいたくない。

一日のほとんどの時間を、自分の部屋にこもり、本を読んで過ごすようになった。

食事も3食全てを別々に食べる。夫も自分の部屋で過ごし、お互い自分の部屋からほとんど出ない。「一日顔を合わせなければ、それで済んじゃう」生活になった。

離婚すれば気持ちは楽になるだろう。でも年金生活で、別れたら生活が大変だ。子どもたちも両親を心配するだろう。夫の最期はみとらないといけない、という思いもある。