「気持ちを分かって」と渡した小説

夫は「ただの同居人」だ。

昨年、図書館で一冊の本を手に取った。

『定年オヤジ改造計画』(垣谷美雨、祥伝社)。定年退職した昭和世代の頭の固い男性の存在に、妻が体調を崩す姿が描かれていた。夫に勧めると、読み始めた。ただ、自分に都合の悪いことが書いてあると思ったのか、すぐに読み進めるのをやめた。

ドラマ化された際も「ドラマを見てね」と声をかけた。

私の気持ちを分かって――。まだどこかで夫に期待していたのかもしれない。

今度は見てくれた。そして、夫は言った。

「このドラマは大げさだな」

「ただの同居人」との暮らしは、変わりそうにない。

※本稿は、『ルポ 熟年離婚』(朝日新聞出版)の一部を再編集したものです。

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ルポ 熟年離婚』(著:朝日新聞取材班/朝日新聞出版)

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