ライター兼編集者の穴澤賢さんは、妻と2匹の愛犬「大吉」「福助」とともに、鎌倉市腰越と八ヶ岳との2 拠点生活を始めました。しかし、穴澤さんは腰越の夏が年々暑さを増しているのが気になっていて……。※本稿は、穴澤賢さんの著書『犬のために山へ移住する: 200万円の小屋からはじまる、不便でも幸せな暮らし』の一部を再編集したものです。
年々暑くなる夏にうんざりしていた
2017年の夏に山の家を手に入れ、2020年11月から、大工さんによる本格的な修繕とリフォームを経て、2023年にはボロ小屋が見違えるほど暮らしやすくなっていた。
2018年に妻は勤めていた会社を辞め、私のネット通販の仕事を手伝うようになっていた。そのため以前は週末だけ訪れていた山の家に、1週間滞在するなんてことも増えていた。私としても仕事部屋ができたおかげで、平日はそこで仕事ができるし、大福にとっても山のほうがいい環境だ。
その時点でもまだ、完全移住するつもりはなかった。なぜなら風呂とトイレは古いままだし、そこをリフォームすると結構な費用がかかるが、そんな余裕はなかったからだ。
同時に年々暑くなる夏にはうんざりしていた。大福の散歩に行く時間もどんどん早くなり、毎朝5時に起きないといけなくなっていた。6時を過ぎると、もうアスファルトが熱く焼けているからだ。絶対に寝坊できないプレッシャーもさることながら、「なんでこんなに早く起こすんだよ」と大福に不満そうな顔をされるのにも納得がいかなかった。お前らが悪いわけではないが、外が暑いんだから仕方ない。そう言ってもわかってはくれない。
夕方も、これまでは16時頃になると海風が吹いて気温が下がっていたが、2022年頃から17時半にならないと気温が下がらなくなっていた。大福は体内時計がわりと正確なので「そろそろ散歩の時間じゃない?」とアピールしてくるが、まだ外には出られない。きっと彼らの中で私は「めっちゃ早起きで、夕方はなかなか散歩に行かないやつ」になっていたはずだ。